(この記事は2016年9月12日時点の情報です)
山脇 典士 先生(歯科)
「歯磨きを嫌がる」「永久歯が生えてこない」子どもの歯/CTを使った高精度診断
山脇歯科
【住所】広島県広島市安佐南区長楽寺1-19-1
【TEL】 082-832-7080
おだやかな口調とやさしい笑顔が
患者さんに安心感を与える山脇院長
小さいうちは、生えてきた歯を1本1本確認したり、母子手帳や育児書などで成長やメンテナンス方法について勉強したりと、パパやママが細かく面倒をみることの多い子どもの歯ですが、幼稚園・保育園〜小学校にかけては歯が生え変わったり、虫歯になりやすい奥歯が生えてきたり、虫歯になったりと、お口の中に様々な変化が起きます。
今回は、安佐南区長楽寺「山脇歯科」の山脇典士院長に、子どもの歯の生え変わりや6歳臼歯に関する疑問、保護者が気を付ける点などについてお聞きました。
最新機器を導入することで原因や病状を極力見逃さず、丁寧な説明と治療、予防メンテナンスに力を入れられている山脇院長。CTを使ってどのようなことができるのか、という話も教えていただきました。
まず、歯磨きを嫌がるお子さんには、保護者はどう対応したらいいですか?
まず、嫌がる子は仕方ないので「ちょっと歯磨き頑張ろう」と言って毎日仕上げ磨きをしてあげること、嫌でも毎日「今日も歯磨き頑張ろう」と声をかけて「やるものなんだ」という習慣づけしてあげることですかね。小さい頃から毎日磨く動機づけをしていれば、いつの間にかできるようになると思います。
基本的には「歯を磨いた後は食べちゃダメよ」という話なのですが、僕の家では子どもが歯磨きを頑張ったら、虫歯にならないキシリトール入りのチョコをあげています。歯科医院でしか売っていないかもしれないのですが「ちゃんとできたら食べようね」という形で、そのチョコをご褒美に与えていたりはします。歯を磨こうという動機付けの効果抜群ですし、虫歯予防にもなります。
あとは「今日はお口開けられたね」とか、自分でさせてあげて少しでもできたら「すごいね、今日はできたね」と、とにかく褒めてあげることですね。褒めるのが1番。僕の治療でも褒めることが一番大事なことだと考えていますね。
医療の中では口の中を見せるっていうのがお子さんは1番嫌らしいんですよ。3歳までの子はお母さん以外の人、特に男の人などとは話をするだけでも嫌だし、3歳を超えてくると、何されるのか分からないという恐怖ですよね。
話を分かってもらえるかどうかは年齢によって違うので、僕らでも、まだ小さくて話しても分からない3歳までの子だったら、「虫歯菌がいるからそれをやっつけるために頑張ろうね」という事が分かるようになる3歳になってから虫歯の治療をすることもあります。押さえつけてでも治療しないといけないケースもありますが、お母さんの希望で「ちょっとそこまではしたくない」ということであれば、進行止めを塗ったりフッ素で様子をみたり、という感じになります。
乳歯が動き始めてしばらく経つけど抜けない…。様子をみていてよいのでしょうか?
下のAいわゆる乳中切歯が生え変わる時に、お母さんが「なかなか抜けない」という話をされますが、乳歯が動いているのであれば、生え変わるという反応が出ているということなので正常範囲だと思います。
永久歯が後ろから生えてきているのに乳歯が残っている場合は、交換がうまくいっていないということなので、その時点で抜くという事になります。
心配であれば小さいレントゲン写真を撮って確認させてもらいますが、どれくらい様子をみていいかというのはケースバイケースですから、半年くらい経っても異常というわけではないです。ただ、痛くて食べられないなどの症状があれば、抜いてあげるべきなのかなと思います。
あと、順番的に抜けるべき歯が抜けていないのに、その次の歯が抜けている場合。順番的にA→Bと抜けるところを、Bが抜けているのにAが抜けていないという時もちょっとおかしいと思いますので、それも確認が必要かなと思いますね。
乳歯が抜けた後、永久歯がなかなか生えてこない…。様子をみていてよいのでしょうか?
半年や1年生えてこない子もたまにいます。とはいえ1年となると結構長いので、僕の場合は大体、半年くらい経っても生える傾向がなければレントゲン写真を撮って、歯があるかどうかを確認させてもらいますが、どれくらい様子をみるかは、かかりつけの先生と相談してもらって決めるのが1番いいと思いますね。
確認の結果、永久歯がなかった場合はどうなるのでしょうか?
生えている乳歯が永久歯の代わりになります。ただ、永久歯は根っこが長いので骨の中にしっかり埋まっていますが、乳歯は根っこが短いので歯周病などになってくると抜けやすくなります。長く保たれている方もいますが、大人になってからある程度のところで歯が抜ける方もいるし、結局は歯がもたなくて抜かれる方も多いですね。そういった場合は歯を抜いた時の治療と同じように、ブリッジか入れ歯かインプラントか何も入れないか、という4通りの中から選んでもらうようになります。
歯はあっても生え変わりがスムーズにいかない場合に考えられるトラブルは?
歯茎の中に歯が埋まった状態を埋伏歯といいますが、生えてくるスペースがないために生えにくいこともありますし、生えてくるスペースが足りないときは内側や外側など、他のところから出てくることがあります。たとえば上の3番目の歯など、スペースがなかったときに生えるところがないために外側の上の方から生えてきて、八重歯になりますね。
また、埋伏歯の近くに過剰歯という、歯を邪魔しているものがあれば、それを取らないと生えてきません。
過剰歯というのは?
大人の歯は親知らずを含めて32本生えてくるのですが、それ以上生えてくる歯を過剰歯といいます。例えば上の前歯は2本生えますが、そこの骨の中に1本や2本、小さい豆粒みたいな歯があったりするんです。なんか内側の方がボコッと盛り上がってきているな、ということでレントゲンを撮ったら、通常の前歯の2本とは別に、小さい塊みたいなものが生えていたり、逆生といって、逆に向いて生えていたり埋まっていたりするんですね。その場合、歯が生えるのを邪魔しているこの過剰歯を外科的に取ることで、ちゃんと生えてくる事もあります。過剰歯が存在する頻度は永久歯の欠損と同じ程度でたまに見受けられます。
過剰歯の抜歯は一般歯科で処置していただけるのですか?
処置はやっぱり口腔外科になってくると思います。永久歯と近い場合には広大の方へ紹介することが多いですね。
8歳9歳になっても6歳臼歯が生えてこない…。様子をみていてよいのでしょうか?
成長期に個人差があるように、歯の生える時期や生え変わりの時期にも個人差があります。
乳歯の一番最後の歯の奥に永久歯が生えてきます。6歳頃に生えることから6歳臼歯と呼びますが、平均で6歳。平均というのは早い子と遅い子を足して割ったものですから、早ければ4歳くらいから生える子もいれば、9歳で生えてくる子もいます。大体平均近くにはなりますが、やっぱりバラつきはあると思います。ただ、8歳9歳ぐらいになると少し心配なので、やはりレントゲン写真で確認するべきかなと思いますね。
レントゲンで、きちんと歯がある事が分かれば、待っても大丈夫ですか?
歯があれば様子をみますね。ただ、埋伏歯もそうなのですが、もし出ないかなという可能性があれば、少し歯茎を開いてボタンみたいなものを貼り付けて、矯正で引っ張り出すことはあります。6歳臼歯が前の歯に引っかかっていることもありますし、前を向いて生えることもありますね。
診療にあたられてきた中で、子どもたちの歯の変化はありますか?
虫歯のひどい子はやっぱり何人かはいますが、虫歯は減っていますね。フッ素の効果か、お子さんが減って1人の子どもに対して手間がかけられるようになったこと、「虫歯にさせない」というお母さんの愛情で減ってきたのかなと思います。
ただ、その一方で、歯並びが悪い子が増えたような感じはありますね。食生活の変化などがあるのかもしれませんが、学校健診に行っても以前と比べると、歯並びが「うーん」という感じの子が結構多くなってきているかな、とは思います。
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お子さんに限らず、先生が日々の診療で心がけておられることは何ですか?
気を付けていることはまず、診断をきちんとすることですね。うちはCTやお口を写すカメラもあって、三次元的に診断ができるようになっています。親知らずの抜歯や神経の治療など、レントゲンでは分からないところが見えてくると、患者さんに対してもよく説明ができます。説明用ソフトもあるのですが、そういったものできちんと画像を見ながら、なるべく噛み砕いて分かりやすく教えてあげて、納得してもらって同意をしてもらってから治療をさせてもらっています。
たとえば「歯茎が腫れるから抜いてほしい」という事で親知らずを抜いた患者さんの場合だと、神経が近かったので一応念のためにCTを撮らせていただきました。親知らずの下に太い神経が通っていて、ここを傷つけると唇が麻痺するんです。その方の場合は神経までの距離が1ミリくらいあったので大丈夫だったのですが、内側の根っこが曲がっていることが分かりました。内側の舌側の骨の薄い所で、傷つけると出血が止まらなかったりしますので、そこに気を付けていこうね、という話をさせてもらいました。
このように、CTを撮ることで三次元的に根っこの湾曲が見えたり、輪切りにして根っこの神経を見ながら、病巣の広がり具合などについて話ができますので、やっぱりCTを撮影すると診断精度が格段に上がります。神経などは複雑な形をしていますし、CTで見ることによって、治らないものが治ることも多々あります。いくらやっても治らない場合は別に原因があったりすることがありますから、初めにきちんと診断した上で、治るもの・治らないものをきちんと説明することが大事だと思っています。歯科に来たら絶対に治ると思われている方も多いですが、一生懸命やっても結果がついてこない場合もありますし、説明しておかないと患者さんも不安になられると思いますので、そういったことも患者さんにきちんと説明して、それでもいいからやってみようという話であれば、どういう風に治療をさせてもらうか話し合っていきます。
また、インプラント埋入シミュレーションのソフトを入れた事によって、インプラントの診断の精度もかなり高くできるようになりました。歯がないところに歯を作る際、パソコンに患者様の歯の模型データを取り込むと「この歯を作るためにはこの位置にインプラントを入れなきゃいけないね」ということがわかります。それもミリ単位で正確に3次元的に位置を決めることができます。
シミュレーション画面上で骨の中にインプラントを入れて、そこへ正確に打てるようにインプラント手術用のドリルガイドを作るんです。ガイドには穴が開いていて、ドリルをその穴に入れれば誰でも正確にパソコンでシミュレーションした位置にインプラントを埋入できます。やっぱり外科の処置は、どんなに慣れていてもどんなに上手な先生でも10ミリの釘をまっすぐ打とうと思うと多少ずれると思うんですよね。でも、百発百中というか、1ミリも狂わず正確にインプラントを入れることができる今一番新しい治療のシステムを導入して、トラブルがないよう安全にさせてもらっています。
お口の骨はかなり薄いし、大事な神経があります。1ミリの狂いも許されません。
ただ、できる方とできない方というのはやっぱりあるので、症例によって使い分けます。また、このガイドも1本の埋入でも6万円くらいはしますから、1本だけだったりして患者さんに「作りたくないよ」と言われたら、それはしょうがないですね。骨がしっかりあれば普通に打てるとは思いますが、僕は絶対ガイドを使う必要があると思いますし、安心・安全だと思いますね。 自分がインプラントしてもらうなら必ずガイドを作っていただきます。
このようなシステムがあるところはまだ少ないのですか?
まずCTのある医院が10%くらいでしょうか。やっぱり高価だということもあって、なかなかCT自体導入されていない先生も多いですよね。さらに、画像を組み立てるようなソフトもまた別に購入しないといけないので、CTを導入されているすべての先生がやっているわけではないと思います。
あと、根っこの治療の際、肉眼では見えにくい根っこなどがあるのですが、見えない所を見るためにマイクロスコープという顕微鏡を使ったりもしています。
高精度な診断と丁寧な説明をしていただけると患者さんも安心できますね
本当にそう思います。まずはお口の状態を把握していただき、納得していただきます。鏡だけではお口の中が良く見えないし、見えないところを説明されずに何をされているかわからないほど不安な事はないですよね。信頼関係が一番だと考えています。
あと、治療やメンテナンスに来なくなるのが1番歯を悪くすることだと思うので、患者さんが悪かったとしても怒らないようにしています。患者さんが来なくなる原因というのはいろいろあると思うのですが、怖いという事が一番だと思いますので、どんな時でも笑顔で対応させていただいております。
そして僕は、治療よりもやっぱり予防に勝るものはないと思っています。いくらいい治療でも歯を削ったりしますから、治療すればするほど歯は悪くなっているんですね。だけど予防というのは、悪くならないようにすることで、歯にとってはそれが一番長持ちする方法ですから、うちでは予防のスペースをしっかりとって診療しています。
最後に、子どもの歯に関して親が気を付けてあげるべき点について教えてください
1日1回はしっかり磨いてあげることと、歯の間に糸ようじを使ってあげること、家庭でできるフッ素(レノビーゴなど)をしてあげることですね。
ちなみにうちの子は3人ともこの方法で今まで虫歯0です。
食生活でいえば、食べている時間=歯が溶けている時間だと思ってもらって、甘いものをダラダラあげないこと。甘いものを食べちゃいけないというわけではなく、決めた時間にあげて、ダラダラ食べないということですよね。
あと、やっぱり悪くなる前に定期的に見せてもらう方が、ひどくなる前に発見できるのでいいかなと思います。定期検診の目安としては年4回、3〜4か月に1回くらいですね。
医師のプロフィール
山脇典士先生
●広島大学 歯学部 卒業
‐資格・所属学会‐
・日本臨床歯周病学会会員
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