(この記事は2017年3月7日時点の情報です)
河村 修司 先生(歯科)
奥歯をダメにする事も!?痛んだり腫れたりする前に、親知らずの確認を。
河村歯科クリニック
【住所】広島県広島市南区京橋町1-3 赤心ビル1F
【TEL】 082-263-6480
気持ち良いほどざっくばらんな河村院長
10代後半から20代前半にかけて生えてくる「親知らず」。多くの方は痛んだり腫れたりして初めて抜歯を考えるのではないでしょうか?
しかし、外科的処置である親知らずの抜歯はすべての歯科医院で対応しているわけではなく、また、患者さん側も大きな恐怖を感じるものです。
今回は、この数年で1000本ほどの親知らずを抜歯されてきた南区京橋町「河村歯科クリニック」の河村修司院長にお話をうかがいました。
親知らずの生え方は人によってさまざまですが、歯並びや虫歯、炎症、口臭、顎関節症などのリスクを抱えている場合があります。また、親知らずそのもののトラブルは抜く事で解消できても、1つ手前の歯(奥歯)まで虫歯や歯周病を引き起こす事も多いとか。
丈夫な歯を長く保つために、定期検診はもちろんですが、親知らずのチェックも含めた予防に努めてみませんか?
先生は親知らずの抜歯に力を入れていらっしゃるそうですね
一般的な歯科治療の中で割と難易度が高く、患者さんも一番怖がられるのが親知らずで、実際1時間半〜3時間、場合によっては4時間くらいかかる事もあります。
うちでは去年、広島県全域、場合によっては他県からも患者さんが来られたりして374本の親知らずを抜きましたが、そのうち360本くらいは30分以内に抜いていますので、仕事帰りに寄ってもらって抜いてしまう事も可能です。
別に自分の腕がよいというのではなく、たとえば歯医者さんは虫歯を毎日何本も治療するので、それだけの数をこなしていれば5年10年で虫歯のプロフェッショナルになります。でも、親知らずの抜歯数が年間1〜2本だと10年でも20本しか抜いた事がないわけですから親知らずのプロフェッショナルとはいえないですよね。親知らずを究めようと思う歯医者さんはあまりいらっしゃらないようで、圧倒的に数が少ないと思います。
僕はもちろん自分の手先には自信がありますが、上手い下手というよりは圧倒的に数をこなしているので必然的に最低限プロレベルにはなっていると思います。
なぜ親知らずに力を入れられるようになったのですか
以前から書いているブログで親知らずの記事にとても反響があったので、去年、親知らず専門サイトを作ったところ、ものすごい数のアクセスがあったんです。親知らずに悩んでいる人がこれだけいて、患者さんは震えるほど勇気を振り絞って来られているのだから、怖くないように抜いてあげられるようにしようと思いました。
もちろんリスクもありますが、だからこそ患者さんも熱心に調べて来られるわけですから、早く、痛くなく、安心して帰れるようにスタッフ全員でやっています。僕のみならずスタッフ全員がプロフェッショナルですよ。特別な教育はしていませんが、やはりそれだけの数を見ているとスタッフも全然慌てませんし、何を聞かれてもほとんど答えられます。
他院で2回トライして抜けなかった親知らずが、うちで5分で抜けるというような例は結構多いですし、怖くて震えながら入ってきた患者さんが笑顔で帰って行くのを見ると、本当に喜んでもらえて貢献できているかなと思いますね。
親知らずの抜歯は大学病院で、という話もよく聞きます
ケースによって「抜かないと前の歯が悪くなるので必ず抜いてください」と大学病院に紹介状を書かれる先生はいらっしゃると思います。でも大学病院は土日が休みで平日4時まで、レントゲンを撮って次の予約は1か月後などという事になるので、かかりつけの歯医者さんに紹介状を書いてもらっても「大学病院に行ってまで…」と放置して、痛みが出て初めて自分でネット検索などで調べて直接うちに来るというような患者さんが後をたちません。
親知らずの抜歯は口腔外科で、というイメージもあります
僕も歯医者さんになった時にはそう思っていました。大学を卒業して研修医でどの科に行こうかという時の最高峰はやはり口腔外科で、みんなが憧れるというか、骨を削って歯を抜いてすごいな〜というのが歯医者さんのステイタスみたいなところがありますね。
ただ、僕がこのクリニックを継いだ時はベテランの先生も何人かいたのですが、生涯で抜いた親知らずの数は2本というような状態でした。慣れていないので大学病院に送っていたそうなのですが、僕がそれをやめようと決めた一つのきっかけはやはり、僕を信頼して来てくれる患者さんがいて、やっと僕とコミュニケーションがとれて「まぁ先生なら頑張って治療しようか」という時に、一番怖い親知らず治療をいきなり全然違うところに紹介するのは変だと思ったからです。せっかく信頼関係を築けたのにいきなり大学病院に紹介されて、どんな先生かも分からない人に抜いてもらうのは嫌だろうなと思って、どんどん訓練しました。
そもそも、親知らずは抜いた方がよいのですか?
以前は必ずしも抜かないといけないとは思わなかったのですが、この1年で考え方が変わってきました。去年374本抜いたうちの250本くらいは親知らずが原因で1個手前の歯(7番目)が虫歯や歯周病になっているケース、もしくは374本中半分くらいは1個手前の神経までダメになって、場合によってはそれも抜かないといけない状態だったからです。奥歯(7番目)は本当に大事な歯ですから、それを失う事になると患者さんはものすごく落胆されます。親知らずが原因の場合、親知らずを抜かずに前の歯を治療しても根本的な解決にはなりません。今は予防歯科も浸透してきましたが、その割に親知らずは放置されていると思いますね。
また、東洋人は顎が小さい上に最近の若い子は顔がシュッとして小さいじゃないですか。あれは小下顎症といって、どんどん顎が退化しているんです。昔の人はもっと噛めて、もっと顎も大きく、まっすぐなところに生えてくるので親知らずはそんなに問題ではなかったのですが、今は親知らずが顎の曲がったところに生えてきて、まっすぐ生えてこないんですよ。しかも、口を開けても奥まで歯ブラシがしっかり届かない。それで悪くなるケースがとても多いですから、親知らずが前の歯に影響している方は早めに抜いた方がいいですね。
抜いた方がよい時期というのは、腫れたり痛んだりした時でしょうか?
いや、その時点ではもうすでに遅いですね。親知らずの1個手前の歯が悪くなる前、つまり10代なり20代の時にかかりつけ医でちゃんとレントゲンを撮って、その時に抜くのがベストかと思います。僕の場合はいろんなケースを見ているので「このケースは10年のうちに絶対こうなるな」という想像がつきます。うちをかかりつけにしている患者さんに関しては親知らずも含めて早めに診断できますが、悲しいかな、親知らずまで含めて自分のところで管理しようという歯医者さんは少ないので、まだまだ数年はこういうトラブルは続くでしょうね。
でも最近はうれしい事に僕のブログを読んで早めに来てくれる人もいて、予防的に抜く事も増えてきました。
親知らずの抜歯で先生が心がけていらっしゃる事は?
歯医者さんの治療は短時間で正確じゃないとダメだと思います。丁寧にゆっくり時間をかけていると唾液は出てくる、口の細菌はそこへ入ってくる、麻酔もきれる。そうなると結局また麻酔を打つ事になり、打てば打つほど傷つけて感染して唾液が入ってきます。
麻酔をしっかり打っていると歯茎を切っても血が出てこない、要するに血を止めるわけですが、その時間が長ければ長いほど治りが悪いんですよ。要するに歯茎を切って回復させてあげるのが早ければ早いほど治りが早いんです。他にも患者さんが顎を開けておく時間が短くて済みますし、恐怖から解放されるまでの時間も短いですから「正確かつスピーディ」というのは一生かけて追い求めて行こうと思っていますね。
抜歯後はどれくらいでよくなりますか?
基本的には清潔にして薬をしっかり飲んで、自己治癒能力で治していきます。
個人差はありますが、うちの場合2週間くらいは痛み止めを朝昼晩飲むくらいの覚悟でいてくださいと言っています。大体1週間くらいでよくなりますが、「痛み止めを飲むほどではないけど、なんかちょっと気になる」というのは大体2週間ですね。
親知らずが骨に埋まっているタイプの人は、綺麗に歯茎を切って、綺麗に抜いて、綺麗に縫合すればほとんど痛みは出ませんが、親知らずの頭が歯茎から出ている人の場合、抜くのは簡単ですが、抜いた後に歯茎が寄りにくいので口の中の黴菌が少し感染しやすいです。
あと、もともと口の中の細菌が少なく、歯周病が進んでいない人はやはり治りがいいですね。歯周病などの菌が多い人は口の中の菌が骨に入るので、少し治りが悪かったり、腫れやすかったりします。
駅前大橋のすぐそばなので、外国人や観光客の飛び込み患者さんも多い。
バリアフリーの院内は車椅子やご高齢の患者さんでも安心。
ところで、こちらのクリニックは代々長く続いてきたようですね
祖父とその兄が駅前で80年、本通りにあった曽祖父の頃から数えると100年くらいですね。父は歯科技工士で結構大きな技工所を経営しているのですが、最初はそちらを継ごうと思って歯科技工士になりました。だから実は割と遅くから歯医者さんになったんです。先輩や同級生もみんな年下ばかりで、誰に教わったわけでもなく、どんどん自分で覚えていったような感じですが、技工士の時に手先を鍛えたというのはかなり大きいかなと思います。親知らずのみならず銀歯や被せ物の治療ならびに入れ歯なども自信はありますし、それだけじゃなく歯医者以外の仕事で10年くらい違う世界を見てきたのも、いろんな意味で大きいかもしれないですね。
応急処置にも対応されているとか
医療の究極はやっぱり緊急治療で、痛みを取るというのが一番です。急患が入ると気心知れた患者さんには説明して待ってもらいますが、多くの患者さんは喜んで待ってくれます。なぜかというと、その長年来ている患者さんももしかしたら明日、いきなり歯が痛くなって予約外で飛んで来られるかもしれませんから。
もちろん忙しくてどうしても待ってもらわないといけない事はありますが、そんな時もスタッフが見て異常だなと感じた患者さんには薬を飲んでもらったり1回中に入ってもらって麻酔を打って、とりあえず痛みをなくしてからまた待ってもらうと喜ばれます。麻酔をするなり原因となっている膿を出すなり、10分もあれば痛みは絶対に取れるんですから「ちょっと今忙しいので10分ほど待ってもらえますか」と痛いまま置いていたらダメですよ。何も処置をせずにいる10分は1時間にも感じるでしょ。どんなに忙しくなってもそこは曲げたくないところかもしれないですね。
その他にはどのような診療スタンスでいらっしゃいますか?
自分が一番よいと思う治療が必ずしも患者さんにとって一番ではない、という事は多々あります。「先生にお任せします」と言われれば僕がよいと思う治療をしますが、患者さんの望む治療があれば一般的に間違いじゃない限り僕はそれを尊重します。もちろん自分の意見はありますし、どうしても患者さんが選択できなければ「こういう治療がいいんじゃないですか」と背中を押しますが、いろんな治療法を提案させてもらった上で、選択するのは患者さんご本人です。
最後に、親知らずの抜歯を考えている方へメッセージをお願いします
親知らずの抜歯には専門の免許や資格などの物差しがあるわけではないので分かりにくいかもしれませんが、本当に親知らずに精通していて、得意にしているところで抜くのがいいと思います。
僕はセカンドオピニオンがとても大事だと言っているのですが、歯医者さんが10人いれば治療方針は10通りあります。それを自分で選択できるのがセカンドオピニオンです。
特に親知らずは抜きたくない患者さんと、抜く自信がない先生の意見が合致して放置されている事が多いので、しっかり抜けるところで、本当に必要なのか、抜かなければいけないのかをチェックしてもらいたいと思いますね。
医師のプロフィール
河村修司先生
●朝日大学 歯学部 卒業
●河村歯科クリニック院長
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