(この記事は2017年10月2日時点の情報です)
辻野 哲弘 先生(歯科)
怖くない!?今や選択肢の一つとして欠かせないインプラント治療
トリプルエープラスデンタルクリニック
【住所】広島県広島市東区牛田本町4-1-7 サドラーズウェルズ2F
【TEL】 0120-827-587 / 082-511-2227
患者さんのニーズに応えながら最高の治療を追求し続ける辻野院長
近年、虫歯や歯周病などで歯を失ってしまった際の選択肢の一つとして義歯、ブリッジと並び、決して珍しいものではなくなったインプラント治療。良くも悪くも様々な情報が溢れており、歯肉を切開して顎骨にドリルで穴を開ける事や金属を埋め込むという方法から恐怖心をおぼえる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、日本口腔インプラント学会の専門医であり、ICOI(国際インプラント学士会)の指導医でもある「トリプルエープラスデンタルクリニック」辻野哲弘院長にお話をうかがいました。
インプラント治療に興味をお持ちの方、治療に迷っていらっしゃる方、ぜひ参考にされてください。
最初のカウンセリングからインプラント治療までの流れを教えていただけますか?
カウンセリングについては、患者さんが良くなるために治療するわけなので、別にインプラントにこだわっているわけではありません。若い女性が「歯並びが悪いので全部抜いてインプラントにして綺麗に並べて下さい」などとおっしゃるケースもあるのですが、目的と手段というのは全く別のものです。インプラントというのはあくまで手段なので、患者さんが何をどうしたくて来られているのか、十分お話を聞いて目的をはっきりさせます。
インプラントについての手順としては、当初まず診断をしますが、いきなりインプラントをするというケースはありません。口の中の環境がある程度良くなってからでないとインプラントの成功率は高くないとされているので、必ず全員に歯周基本治療(歯槽膿漏の最初の治療)をするようにしています。もちろん、すぐに歯が抜けそうで、とりあえず歯を入れて欲しいという方の場合は応急的な処置をしますけれども、その処置である程度落ち着いてからインプラントの審査をしていきます。まず、噛み合わせの状態等をチェックするために模型をとります。そして血液検査をします。健康診断等を受けられた方の場合はその結果を見せて頂くケースもあります。あとはCTを撮ります。果たしてその手術でどのような状態に回復できるのかというのを、模型とCTを重ね合わせてデジタル上でシミュレーションしたものを患者さんにお見せして、患者さんが「こういう形になるんだったらして欲しい」という事であれば手術の計画を立てて手術をするという形になります。
異物を埋め込むという事もあり、勇気が要る治療のように思うのですが…
僕は日本口腔インプラント学会の専門医なのですが、今、インプラントというのは流行でもあるので、日本口腔インプラント学会というのは日本の歯科医師では最大の学会です。その中で専門医というのは限られていて、ある程度条件をクリアしないと専門医にはなれません。広島市内ではおそらく大学所属の方を含めても多分20〜30名くらいしかいないと思います。(※2017年9月28日現在22名:日本口腔インプラント学会サイト参照)
親知らずを抜く時にコンピューター上でシミュレーションする先生はいませんが、専門医の方々は必ずCTを撮ってシミュレーションもしていると思います。しかも今はサージカルガイドといってドリルの方向や深さを決めるような器具を発注していたりするので、ドリルの方向を失敗するような事は基本的にはありません。もちろん難しい手術の中にはサージカルガイドが使えない手術もあるので、決してすべてではありませんが、おそらく一般的に行う手術の8割くらいは親知らずを抜くよりも遥かに安全ですし、折れた歯を抜いたりするより痛みも少ないです。おそらくかなり間違った情報が世間一般に流れていて、インプラント自体がとても怖いものだという風に考えられているのではないかと思います。
痛みも少ないのですか?
そうですね。麻酔して歯茎を切ってドリルで骨に穴を開けて…と言われると『どんな事をされるんだろう』と思われるかもしれませんが、一般的には、歯茎を開いても後で縫い合わせますから痛みもほとんどないんですよ。うちの実績で言うと「思っていたよりも楽だった」「かなり悩んでいたけど、こんなに楽なんだったらもっと早くすればよかった」とおっしゃる方が大体90%くらいですね。もちろん捉え方には個人差があるので、残りの10%くらいは思っていたのと同じ、もしくは思っていたより痛かったりしたのかもしれませんが、9割がたの方は術後も痛み止めは要らなかったといいますか、処方は致しますけども飲まなかったとおっしゃる方の方が多いので、その辺りはそこまで気にするような処置ではないですね。
インプラント治療を受けられる方の年齢層はいかがでしょう?
それはとてもバラエティに富んでいますね。若い方であれば10代の方もいますし、逆に80代の方もいますので、何歳くらいの方が多いというわけではないです。
若年者、例えば10代の方というのはほとんど先天性欠如(生まれつき永久歯がない)、あるいは外傷で歯を失ったり、事故で歯を失ったり、という方が多いです。あとは1本だけ歯を失った時にインプラント治療の情報を見て、ブリッジよりもインプラントの方がいいんだな、と思われた方は20代〜30代が多いですね。あとは年配の方も当然いらっしゃるので、その辺りは何歳くらいかというのはなかなか難しいところです。もちろん10代〜20代の方はすごく稀ですけれども、30代くらいになれば非常にたくさんいらっしゃいますね。
インプラント治療ができない方というのはあるのでしょうか?
別の歯科医院で「骨が薄いからできない」と言われたりするケースは多いようで、うちに来られた時に「10年前にできないと言われて諦めていた」などという方は結構いらっしゃいます。しかし、基本的にできないケースというのは全身的な問題がある場合です。例えば糖尿病があるとか甲状腺に問題があるとか腎臓に問題があるとか、高血圧がコントロールされていないとかいう事でできないだけであって、局所的な要因でできないという事は99.9%ないですね。先ほど専門医の話もしましたが、インプラントは歯科医師であれば誰でもできます。中にはとても簡単なケースだけをされている先生もいらっしゃいますし、年間1人〜2人しかされない先生もいらっしゃれば100人〜200人とされる先生もいらっしゃいますから、当然そこに技術の差などが出てきます。手術経験のあまりない先生に「あなたは骨が薄いからできませんよ」と言われると患者さんは「あぁ、できない人っているんだな」と思われますが、基本的に骨が薄くてできないケースというのは、ほぼありません。
糖尿病や高血圧の方の場合は、やはり無理なのですか?
いえ、糖尿もコントロールの問題です。平均的に推奨される治療を示す“治療指針”というのはあらゆる学会にありますが、インプラント学会の専門医の治療指針の中に糖尿病の場合はこれくらいの数値でコントロールされている方に行う、というのがあるんです。それ以上のコントロールがされていない方に行うと、うまくいくかもしれないし何も起こらないかもしれないけれど、術後感染したり、あるいはすぐ取れてしまったり、うまくいかない確率が一般的に考えられるよりも高いと言われているので、そういう方には基本的にはしません。それはきちんと病院に通えばコントロールできる事なので、患者さんにコントロールしてもらってからする、という事です。高血圧も一緒で、血圧がとても高いのを放置されている方にはしませんが、そのような方には「あなたは血圧が高いので、きちんとコントロールしてもらってからしましょうね」という形で行います。また、悪性腫瘍に今現在罹っている方などの場合も基本的にその段階では行いません。
骨が薄いなどの方の場合はインプラント治療に入る前に骨の処置をするのですか?
ケースによりますが、同時か、もしくは先だって骨を増やす治療をします。
骨をどうやって増やすのですか?
場所によっていろんな方法がありますが、多くの場合は骨移植と言われていますけれども人工の骨を移植する処置というのを行います。ご自身の骨を移植するケースもありますが、今は人工骨を使うケースが多いですね。
では内科的疾患等を除けば基本的にはできると考えてよいのですか?
そうですね、どんな口の中の骨の状態であっても基本的にはできます。できないケースがないわけではないですが、それは極めて珍しいです。例えば、奇形で枝分かれした非常に太い神経がインプラントを入れたい所の直下にあるというような、非常に稀なケースでは起こり得ますが、一般的にはないですね。
神経の位置などによっても、できない場合があるのですね?
他に顎の中で言うと動静脈奇形という、腫瘍のようなものですが動脈と静脈が絡み合っているようなものがありまして、そこを傷つけたりすると出血が止まらなくなってしまうので、そのような特殊な例ではインプラントのみならず普通の外科処置もできませんが、一般的に骨が痩せているというレベルのものであれは、できない事は基本的にないですね。
先ほど「骨が薄いからできない」と断られた方のお話がありましたが、どこの歯科医院でもできるわけではないのですよね?
専門医レベルの方であればできると思います。自分でも、この周囲でできる先生を思い浮かべる事もできますし。ただ、市内という事であれば多分10軒もないかなと思います。
インプラントの耐用年数はどれくらいなのでしょうか?
「インプラントがどれくらいもつのか」というのはよくある質問なのですが、これはデータが出ていて、論文を発表するような施設においては一般的に九十数パーセントが10年経っても残っています。うちでも統計をとっていますが、過去2年とかいうレベルで言うと99%くらいで、すぐ取れてきたりなどという事はほとんどないですね。年に1本しか手術しないような先生だと、もしかしたら10年間で100%残っているかもしれませんが、大学病院レベルの施設の統計ではほとんどが95%〜97%とか、あるいは悪い所で93%くらいが10年間で残存しているという事になっています。ただ、それは患者さんの手入れにもよります。例えば全然歯磨きしていない方なのか、きちんと手入れする方なのかによっても違ってくると思うんですよね。外傷や先天的に歯がない方などの特殊なケースを除くと、そもそもは、お口の中の環境が悪いから歯を失ってインプラントに至るわけですから、人によってはまた非常に悪い環境になってしまうというケースもあります。ですから患者さんの手入れ次第ですが、一般的にそのくらいはもちますね。20年経っても90%とか八十数パーセントは残っているので、きちんと手入れをすれば非常に長い期間安定して使えるものだと考えていただいていいと思います。
インプラントの種類について教えていただけますか?
非常にたくさん種類が出ていまして、細かいものも含めると200社くらいあると思います。しかし、自動車などと同じように、6〜7割以上は上位4〜5社くらいが占めています。日本で数百本しか売れていないものと世界で何十万本と売れているものというのがあるので、シェア1位や2位という非常に巨大なメーカーと日本でしか売られてないインプラントなどでは、年間の出荷量などを比べるとおそらく桁が3つとか4つくらい違うと思うんですよ。どの種類がいいかというのはなかなか難しいですが、やはり大きなメーカーの方がよりいいのではないかという感じです。正直言うとどのインプラントも一長一短あります。完璧なインプラントというのは残念ながら今のところないですから、僕はいくつかの種類のインプラントを使い分けていますし、患者さんにもお伝えしています。
僕は開業して16年なのですが、実際自分で使ってみて15年〜16年という治療成績のデータを積み重ねると、治療成績がいいインプラントとそうでないインプラントというのはある程度、自分なりに分かるんですね。
何が違うのでしょうか?
論文の中でも、接合の部分や表面性状(インプラントの表面を加工してある方法)などによって成績が違うというのはいろいろ言われています。ですが、それが確実に本当かといわれると、自分でやってみると少し違っていたりするケースもあります。手術の方法などによっても少し変わってくる部分があるのだと思いますが、やはりよく売れているインプラントの方がより安心だと思いますね。
清潔で落ち着いた院内。スタッフの対応も気持ち良い。
インプラント後は普通の手入れをしていれはいいのでしょうか?なにか気を付ける事はありますか?
ご自身の歯を手入れするのと基本的には同じなので、ご自身の歯と同じように清掃していただければそれでいいと思います。
自分の歯の定期検診を受けるように定期検診も受けた方がよいですか?
そうですね。もちろん「来てくださいね」と言っても来られない方もいらっしゃいますが、基本的には定期検診に来ていただくようにお伝えしています。
先生のクリニックではインプラント10年保証というものがあるようですが?
永久保証みたいな事を独自にやっていらっしゃる先生もたくさんいらっしゃいますし、うちでも昔はそういった事をしていた事もあるのですが、インプラント学会で専門医になると、ある程度その治療指針に縛られてしまうといいますか、学会としては、独自で医療の保証をするというのは少し問題があると考えられているようですので、今は保険会社に外注しています。最近また別のものもできましたが、私の提供している保険会社は日本で唯一のインプラントの保証会社として始められたところで、過去の治療歴や治療本数などで認定医院にならないとその保証を扱う事はできないのですが、認定医院で施術したインプラントは全て、どこへ行っても認定医院であれば同じように保証が受けられるという制度です。その保証保険に入って、所定のメンテナンスに来ていただければ10年間は保証致しますよというものですね。
実際にはどのような保証が多いのでしょうか?
一番多いのはセラミックが割れる事ですね。インプラントのトラブルで一番多いのは被せるものが欠けたり割れたりする事なのですが、それをやり直す時の保証だったり、インプラントが取れてしまった時の保証です。もちろん限度額のようなものはあって、例えば10回もやり直す事はできないのですが、修理などは何回かできると思いますし、インプラントのやり直しも10年間のうちに1回くらいだったらできると思いますよ。そもそもインプラントは先ほど言ったように10年で数パーセントしか歯が失われる事はないので、何回もやり直すようなものではありませんが。
キャラメルなどを食べてクラウン等が取れる事がありますが、インプラントにおいてはどうですか?
あります。インプラントの被せを留めるにはセメント固定、スクリュー固定と、大きく2種類の方法があり、セメント固定している場合は基本的にご自身の歯と構造は同じで、土台の上に接着剤で付けているだけです。噛む力というのはとても強いので、使っている間にセメントが破壊されて、いつかその接着力が少なくなってしまった時に、キャラメルを食べたら取れてしまうような事はゼロではないです。それがどうしてもイヤだったらスクリュー固定(被せ物を接着剤ではなくネジで留める)という方法もあります。この辺りはとても難しくて、それぞれ一長一短ありますので、どちらがいいと一概には言えないですね。
固定方法はどのように使い分けるのですか?
スクリュー固定というのはネジ留めの穴が開いてしまいます。後で埋めますが、やはり見た目が少しよくなかったりするので、審美的な要素を優先する場合は基本的にセメント固定ですね。一方、取り外して清掃したりしたい場合はスクリュー固定します。
先生がインプラントに力を入れられるようになったきっかけを教えていただけますか?
先ほど言ったようにインプラントは一つの手段ですので、インプラントに力を入れているというのは少し語弊がありますが、今はもうインプラントというのはなくてはならない治療である事は事実です。こちらへ来られる患者さんで、とても長いブリッジが入っているために、その一部がダメになった時、一時的に仮歯も入れられないという方が結構いらっしゃるんです。もちろん治療費用の問題や患者さんの問題もあるかもしれませんが、そんなに長いブリッジを入れるくらいだったらもっと早く、何ヵ所かに分割してインプラントを入れればそんなに困らなかったのに、というケースはたくさんあるんですね。インプラントをしないという考えは、その方のポリシーでいいとは思うのですが、やはりあった方が治療のバリエーションは増えますし、患者さんのメリットは高いと思います。ですから、僕としては別にインプラントに力を入れているわけではなく、患者さんの問題点を解決するために一番いい方法を考えると、どうしても今の歯科治療という事であればインプラントは欠かせないものだと思っているんです。そうなるとどうしてもインプラント治療が増えてくるという事になります。
最後に、インプラント治療をお考えの方へメッセージをお願いします
「近くだから」とか「昔から診てもらっていたから」という理由でインプラントをしない医院に通われていた患者さんが結構来られたりするのですが、やはりそれぞれ得意なものと得意じゃないものがあるので、もしインプラントが必要になった時にはセカンドオピニオンとして、いわゆるインプラントの専門医の先生に一度は見てもらったらいいんじゃないかと思います。うちに来られた患者さんにも、少し納得がいかないという方に関しては「何軒か行かれて一番ご自身が納得された所で治療されたらどうですか?」と言うケースもあります。僕自身は口腔外科でずっと大学で診療していたので外科的な処置が得意である事がインプラントが得意になった理由の一つだとは思うのですが、もしインプラントが必要な状況になった場合、そのような得意な先生に一度は見てもらって意見を聞くというのが大事かなと思います。
医師のプロフィール
辻野哲弘先生
●広島大学歯学部 卒業
●広島大学歯学部大学院 卒業
●広島大学歯学部助手
●ロンドン大学イーストマン病院留学
●三菱三原病院 歯科口腔外科医長
●開業医勤務
●トリプルエープラスデンタルクリニック 院長
‐資格・所属学会‐
・歯学博士(口腔外科学)
・日本口腔インプラント学会専門医
・国際インプラント学会指導医(Diplomate)
・日本顎咬合学会会員(かみ合わせ認定医)
・日本口腔外科学会会員
・日本歯科審美学会会員
・日本顎関節学会会員
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