(この記事は2018年3月28日時点の情報です)
衣笠 裕紀 先生(歯科)
歯周ポケットの面積、どれくらいあるかご存知ですか?
こころ衣笠歯科医院
【住所】広島県広島市安佐南区伴南4-3-30-2
【TEL】 082-849-1200
とても親しみやすく、気軽に相談できる衣笠院長
今や多くの人に知られている歯周病。歯と歯茎をしっかりケアする事が大事ですが、ある「癖」も進行を促す要因になる事、ご存じですか?また、原因菌が溜まる事で炎症を起こしていく「歯周ポケット」、実際にどれくらいの面積になると思いますか?
今回は、歯周病認定医である「こころ衣笠歯科医院」の衣笠裕紀院長にお話をうかがってきました。
その他、歯を削らない虫歯治療についても教えていただきましたので、併せて参考になさってください。
歯周病は何歳くらいから増えてくるのですか?
30歳超えてから始まる形が一番平均的で、個人個人で抵抗性や感受性があるので進み具合は違いますが、40歳になるとほぼ歯周病として成立している方が多いですね。
歯周病を進行させないためにはどうしたらよいですか?
日常の歯磨きや歯間ブラシでの汚れ落としがメインですね。ただ、それだと全部は届かないので残ったところは定期的に歯科医院でしっかり汚れ落とししていく事が歯周病の進行を遅らせます。歯周病が成立してしまうと治すのはなかなか難しく、進行する一方ですが、進行を遅らせる事は確実に可能だと思います。
歯科医院での汚れ落としは、どれくらいの間隔で行ったらいいですか?
磨き残しは口の中で細菌繁殖して毒素を出し始めるのですが、それが成立するのは一般的に1ヶ月〜2か月後くらいからなので、できれば3ヶ月〜4ヶ月くらいで定期的に綺麗にクリーニングしてリセットしてあげるのが重要かな、というところですね。それであれば、もし深いところに磨き残しがあったとしても歯茎が腫れる程度で、骨までは侵襲しないと思うので。長くても半年に1回は綺麗にした方がいいかな、と思います。
どの年代の方でも同じような間隔でよいのですか?
若い人は抵抗力があるので歯周病原因菌に対しての抵抗性は強いですが、高齢者や女性の場合は骨粗しょう症だったり骨密度が低くなっているところに病原菌がたくさんいる事で歯周病の進みが早かったりします。あと、意外にあるのは歯ぎしり、食いしばりが原因となって短期間で一気にドーンと進むケースです。特に奥歯などの見えないところで強く噛む事で歯周病が進んでいる方は結構いらっしゃいます。それは年齢云々よりも癖と汚れ、力と黴菌の相互作用によって歯周病をより早く進ませるリスクファクターになりうる形ですね。
ところで、歯周ポケットって知っていますか?歯茎の内側の、黴菌などが溜まって腫れたりするようなところですね。例えば歯が28本あるとして、その歯茎の溝の中の面積を全部かき集めるとどれぐらいあるか、イメージつきますか?
えっっ、分かりません。……手のひらくらいですか?
そう、手のひらくらいなんですね。動物、哺乳類は誰しも溝が絶対あって、それくらいの面積を口の中に抱えているんですよ。例えばもし腕などに手のひらくらいのケガがあったら大ケガじゃないですか。口の中でその面積全部が炎症を起こしているという事は、少しずつ見えないところで実質は気づいたら大ケガしているという事になるので、そう思うとやはり定期的にきちんとケアをしておかないといけないですよね。歯周病は血管病で、血圧などにも影響するし糖尿病にも関係するといわれるのは、それだけ大きな炎症が起こるために全身疾患と関連してくるという事なので、見えないところではあるけれど結構大ケガしている事が多いのだという意識を多くの人に持っていただいて、気を付けていただければな、と思います。
家庭での歯磨きで歯周ポケットの中まで磨けるものですか?
ポケットが1ミリ〜2ミリであれば毛先をあてて磨けば歯ブラシで管理できる深さなので、それくらいの深さであれば歯ブラシできっちりやっていけば歯周病はそんなに進むリスクはないのですが、ポケットの深さが3ミリや4ミリを超えてくると、どれだけ歯ブラシで頑張っても奥底は絶対磨けません。そして先ほどの話じゃないですが病原菌が毒素を出して炎症が起こるのを待つという状況になってしまうので、深さが4ミリくらいある人は定期的に綺麗に洗っていく、というのがやはり重要になってくるんですよね。
そうなると1ミリ〜2ミリの方は自分できちんと歯磨きをしておけば定期クリーニングに来なくても…という事になりませんか?
そう、リスクはそんなにないですから、間を空けてもいいかもしれないですよね、そういう方は半年おきとか。
定期クリーニングの間隔は年齢などで一概には括れないわけですね。
やはり個人個人ですね。歯磨き習慣など育った環境もあるでしょうし、あとは歯が頑丈な方もいたりとか、いろいろ個人差はありますから、そこは何歳だから大丈夫などと一概には言えないですよね。
ありがとうございます。次に虫歯治療についておうかがいしたいのですが、3mixMP法やドックベストというのはどのようなものですか?
3mixMP法は抗生物質などで虫歯の細菌などを抑え込むという方法で、ドックベストは銅イオンなどのイオン作用を持つお薬で虫歯を抑えていく形です。適用があるので全てとは言えませんが、虫歯の進行で柔らかくなった歯が硬くなるので、その中の神経まで触らなくて済む事もあります。
虫歯を削らず残したままにするという事ですか?
そうです。通常、虫歯は全部取るというのが基本ですし、3mixMP法も割と取るのですが、ドックベストの場合、周りは取るのですが、中は残っていてもこの薬を作用させてあげる事によってイオンの効果で歯が硬くなって回復してくる、という形ですね。ただし、経過を見ないといけないので、すぐには治せません。とても時間がかかる事なので。
歯の内側で起きている事をどのように確認していくのですか?
また何か月後かに取って薬をどけておいて、最終的にはまた違うもので詰め直すという形で直します。ただ、これらの方法は積極的にやっているわけではなく、歯を削りたくないというような方で希望があればそれも選択肢の一つとしてありますよ、というオプションとして用意しています。
広電バス「こころ入口」バス停の目の前。
バリアフリーの院内は清潔に保たれており、スリッパも個包装と徹底されている。
先生の医院では、どのような患者さんが多いですか?
うちの場合は虫歯で痛いという方よりも歯周病のチェックやクリーニングに来られる方が大半で、ほとんどは定期的に、数ヶ月おきとか毎月いらっしゃるという方ばかりですね。
流れとしては、最初から虫歯で歯を削って…というより歯周病チェックやクリーニングなどのケアを先にして、虫歯が小さければ定期検診でまた絶対いらっしゃるので、様子を見て大きくなるようだったら治しますかね〜という感じで、痛いとか緊急性のある方は割合としてはとても少ないですね。
子どもさんの場合もそうですか?
子どもさんも割と定期的にいらしているので、様子を見られるようであれば無理に削ったりせず、チェックして着色などがあれば汚れを落として綺麗にしたり、機会があればフッ素を塗ったり、慣れない子だったらちょっと練習したりして、慣れてから治療するとか。無理矢理押さえつけての治療はしません。
先生の医院ではホームケアグッズが充実していて、それぞれにきちんと説明も書いてあるのが印象的ですが、ご家庭でのケアのご指導なども力を入れていらっしゃるのですか?
本当は長い時間をかけてやってあげるのがいいのですが、回数を重ねれば毎回確認などもできるので、衛生士が「歯ブラシはこうした方がいいですよ」などとワンポイントで指導してくれていますね。
先生が診療で大切にされている事は何ですか?
気軽に定期的に来てもらうというのが一番。歯周病としてはそれがメインになるので。歯周病は、歯を削って1回で終わって、また何かあったら、というわけではなく、ずーっと長い付き合いになりますので、気軽に定期的にいらして、何かあれば気軽に言ってもらって、というのが一番大事にしている事ですね。
実際、患者さんが皆さんとても仲良くしてくださるので、ありがたいです。
今後どんな医院を目指していきたいですか?
皆さん、どんどん歳をとると歯周病のリスクもどんどん上がってしまうので、末永く定期的に来てもらって、信頼してもらえれば。少しでも歯の寿命が延びているな、というのを実感してもらえればいいかなと思います。スタッフと喋りに来てくれている患者さんも結構多いですし、そういう感じで来てもらえればいいなと思っています。
医師のプロフィール
衣笠裕紀先生
●北海道医療大学歯学部 卒業
●北海道医療大学歯科保存学第一講座 助手
●北海道医療大学歯周歯内治療学分野 助教
●こころ衣笠歯科医院 院長
‐資格・所属学会‐
・日本歯周病学会認定医
・日本歯科保存学会
・日本歯科医療福祉学会
■□■□ 2024年9月によく読まれた記事をCHECK! □■□■
命にかかわる病気ではありませんが、経過観察と言われたら生理の変化に気を付けて。過多月経や月経痛がひどくなるなどの場合は早めに産婦人科に相談しましょう。
実は10代、20代の女性の死因上位に挙げられる摂食障害。
人の価値や美しさは、体型や体重で決まるものではありません。
適切なカウンセリングで過度な痩せ願望やストレスから自分の体を守りましょう。
幼児や児童に感染することが多く、発症すると喉の痛み、熱、発疹などといった風邪と似た症状が起こります。また、痛みはないのですが、舌の表面に赤いぶつぶつができることがあります。
尋常性疣贅は、「ヒト乳頭腫ウイルス」というウイルスの一種が皮膚に感染してできます。手あれや髭剃り後など、目に見えないくらいの小さな傷からでもウイルスが侵入します。どこの部位にもできる可能性があるのです。
咽喉頭異常感症は心理的要因が大きいといわれています。
喉がイガイガする、圧迫感がある、引っ掛かったり、絡んだような感じがするなど
考えれば考えるほど、喉に違和感を抱き、そのストレスが引き金になって症状を引き起こすことも多いようです。
「不安障害」とはその名の通り、不安な気持ちが強くなる病気です。
ある特定の状況や場所で非常に強い不安に襲われ、身体のいろいろな部分に様々な症状が現われたり、不安を避けようとする「回避行動」をとるようになったり、また安心を得るために無意味な行動を反復してしまうといったことが起こり、人によってはそれが原因で社会生活に支障をきたすこともあります。